長良とっしの釣りブログ

渓流・本流ルアー。主に長良川水系でのサツキマス、アマゴ、イワナ釣行記。釣り方、タックル、ルアー、道具、ウェアについて自身の経験をもとに紹介。

渓流魚のキャッチ&リリースについて考える

私が自然の川で釣ったアマゴやヤマメ、イワナなどの渓流魚を持ち帰って頂くのは年間数匹程度です。
ただしニジマスやブラウンなどの外国系の外来種はなるべく持ち帰って頂くようにしています。
国内系の外来種に関してはルールを決めかねています。
トラウトフィッシングを初めて15年以上になり、ここ数年はこのような基準でキャッチ&リリースをしていました。

今までほとんどの魚をリリースしているので「自分の事を魚に優しい釣り人」だと思っていましたが、
家族からの指摘により「釣りをしている時点で自分は魚にとって最恐最悪の存在だ」ということに気付かされました。
さらに、いくら釣った魚を逃がしていても、その魚が死んでしまっていたら、それはただの虐殺となってしまいます。

そんなことではいけませんので、
今回は意味のあるキャッチ&リリースについて考えてみたいと思います。

私がキャッチ&リリースする理由

1つ目

よりたくさん・より大きな渓流魚が釣りたいので減らしたくないし・大きく育って欲しいからです。
道路から入りやすい川や、釣り人に人気な川は魚影が薄くサイズも小さいもんです。
毎年の放流がなかったら、もっと少なく・小さくなるでしょう。

2つ目

渓流魚を食べることよりも、釣ることと美しい魚体を見るのが好きなのです。渓流釣りを始めて以来、年々その傾向が強くなっているように感じます。
出来るだけ、釣ることと見ることに集中したいと思いますし、そこに時間や労力を使いたいと思っています。
山奥の源流域で釣った魚を、持ち帰って美味しく頂くためには鮮度を保って持って帰る必要があり、保冷や下処理などに関する作業や労力が必要になります。帰ってからも、美味しく頂くためにはかなりの労力を要します。

3つ目

渓流魚はあまりに美しく、希少となったヤマトイワナなどの原種を残したいと思うからです。この思いも年々強くなっています。

わたしにとってのキャッチ&リリースとは

キャッチ&リリースをする3つの理由を突き詰めると、わたしにとってのキャッチ&リリースとは「自分の釣りたい欲求を満たすためのもの」で、魚や自然のためにやっているのではないということがわかります。
少し考えればわかりそうなことなのに今まで気付きませんでした。
実は最近、家族の指摘によりこの事に気付きました。
釣り人というのは、どんなスタイルの釣り人であっても、魚にとっては恐怖の存在であり自分勝手な存在なのです。

ルアーを追わせてチェイスを楽しみ、針に掛けて引きを楽しむ。
手にとって美しさに見とれて、写真を撮り、満足したら流れに戻す。
私にとっては至福のひとときでも、魚にとっては迷惑そのもので生命さえ脅かす行為です。

つい最近まで、自分の事を「魚に優しい釣り人」だと思っていたのが恥ずかしいくらいです。

自分が魚にとって最悪の存在だという事に気付いてから
「魚に優しい釣り人とは何か」
「少しでも魚に優しい釣り人に近づきたい」
と考えるようになりました。

「魚に優しい釣り人とは」

答えは魚を釣らない釣り人です。
しかし、釣りたいという欲求を抑えるのは釣り人である以上無理なので、「なるべく正しいキャッチ&リリースができる人」ではないでしょうか。
自分の欲求を満たしつつ魚へのダメージを最小限にすれば、少しは優しい釣り人に近づけるのではないでしょうか。

そこで、自分の今までのキャッチ&リリースの方法を見直したところ、問題だらけという事に気付きました。

問題だらけのキャッチ&リリース

シングルバーブレスフックを使用していない。

かろうじてバーブレスを使っていましたが、基本トレブルを使用していました。
渓流魚の背中や腹に怪我を負わすことが多かったです。
時には目玉に刺さる事も....

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写真上:トレブルフック、写真下:シングルバーブレス

かえしを潰してバーブレスにする

ほとんどの渓流用ミノーに最初に付いているフックは、かえし付きのトレブルフックです。
これをペンチでつぶしてバーブレスとして使用していましたが、これはバーブレスにはなりません。
ペンチで潰した後、ヤスリで削るくらいでないと意味がないでしょう。
ペンチで潰しただけだとネットに絡まって外れにくかったり、魚から外れにくい事が多くあります。
本物のトレブルバーブレスとペンチで潰したものを比べれば、外れにくさの差は歴然です。
かえしを潰した「見せかけのバーブレス」は魚へのダメージが大きいので注意が必要です。

クレモナ糸のネットを使用している

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写真左2つ:今まで愛用していた銘木+クレモナネット。写真の右:次回から使用予定のラバーネット
クレモナ糸の結び目

見た目重視の銘木とクレモナ糸を使ったランディングネットを使用していました。
もちろん濡らしてから使用していましたが、どう考えても結び目が渓流魚にダメージを与えていました。
結び目を手で触ってみればわかりますが、魚にとってはかなりの刺激です。
ラバーネットを選ぶべきです。

クレモナ糸は布なので

またクレモナは布なので、魚の表面のヌメリを奪い取ってしまいます。
魚表面のヌメリは菌などから体を守る役割があるため、奪い取られた魚は菌の温床になり、最悪死んでしまうようです。

クレモナ糸は絡まる

また、魚からトレブルフックを外す前に暴れられると魚のダメージはMAXとなります。ネットもフックも魚にからんで、さあ大変です。魚の表面のヌメリも取れてしまいますし、口がネットに引っ掛かるとアゴが取れてしまうこともあります。
一生懸命絡みを直す間に、魚を水から浮かせてしまうこともあり、さらに魚へのダメージは加速します。

クレモナ糸はヒレに食い込みヒレを裂いてしまう

ネイティブトラウトの最大の魅力である立派な尾びれが、ダメージを受けます。
ネットの目が粗く、そのわりにネットが小さい場合に起こりやすくなります。
裂けたヒレは恐らく治らないでしょう。
胸ビレが避けてしまうこともあります。
ラバーネットを選ぶべきです。
下の写真の魚は、完全無欠の魚体でしたが、クレモナネットを使ったせいでヒレが裂けてしまいました。

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完全無欠の魚体でしたが胸ビレか裂けてしまいました。撮影しませんでしたが実は尾ビレも裂けてました。

写真の撮影に時間を掛けすぎ。

ブログやインスタに素敵な写真を載せたいがために、撮影に時間を掛けてしまっています。
なるべくエラには水が通るように心掛けていますが、魚体の一部分は水から出てしまいます。
また、急に暴れて石など色んなところに魚がぶつかることもあります。
クレモナネットだと暴れた時に上顎(ウワアゴ)がネットに絡まって欠損してしまうこともありました。

釣った魚を水から上げてしまう

ルアーに食い付き、針に掛かり、必死にもがき、もがいたあげくに陸上に引きずり出される。
よくある例え話ですが、
人間で言うなら、百メートルを全力疾走した直後に水の中に引きずり込まれる。
そんなことをされたら、下手したらすぐに死んでしまいます。すぐに絶命しなくても酸欠が続けば人間と同じように魚の細胞も死んでしまいます。

リリース前提の釣りなのに、「見たい」「撮影したい」という欲求のために、バレるのを恐れてランディングせずに陸にずり上げてしまう事が時々ありました。
魚が酸欠になるだけでなく、魚体表面のヌメリがとれたり、地面が熱かったら魚は火傷してしまいますので、絶対にやってはいけない行為でした。

ここで、渓流魚の火傷について説明します。
渓流魚は冷たい水に棲む魚です。
体温は変温動物なので水温となります。
20℃以下の水温に棲む渓流魚にとっては、直射日光で温まった陸の石は鉄板のように熱い石となります。人間の体温でも火傷するのは有名な話なので、温度には特に注意が必要です。

正しいキャッチ&リリースとは何か

今までのキャッチ&リリースの間違いに気付いたところで、次は正しいキャッチ&リリースについて考えたいと思います。
そこで、まずは渓流魚の弱点についておさらいします。

まずは渓流魚の弱点をおさらい

弱点1

→フックによる刺し傷→失血や炎症で最悪死に至る

弱点1

→体表のヌメリを取られる→自然界の菌から体を守れなくなる

弱点2

→水温より温かいもので触る→火傷して弱り、最悪死に至る

弱点3

→水から出す→酸欠になる→細胞から死んでゆく

正しいキャッチ&リリースとは

次回の釣行から私が実践する内容になります。
リリース後の生存率が飛躍的に上がりそうです。

C&Rのすすめ1

フックはシングルバーブレスを使う。
ミノーに関しては、いずれテールのみにしてゆきたいと思っています。
まずはベリーとテールの2本からやってみます。
あと、かえし付きのシングルフックのかえしをペンチで潰してバーブレスに加工する場合は潰したあとヤスリで削るようにします。

C&Rのすすめ2

ラバーネットを使う。
ラバーネットといえども濡らして冷やしてから使いましょう。乾いていると魚表面のヌメリを取ってしまいます。また、冷えてないと火傷させてしまいます。

C&Rのすすめ3

触る場合は手は濡らして冷やしてからにする。
人間の皮膚は布などよりは魚の体表に優しい存在です。
が、濡らすことと冷やすことを忘れると、渓流魚には凶器となりますので気を付けましょう。

C&Rのすすめ4

渓流魚を水から出さない。
陸に上げない、空中に持ち上げない。
水から上げると酸欠になりますし体表が乾きます。
空中に持ち上げるのは、水中のような浮力がなくなりますのでフックが魚体に食い込むため、フックからのダメージが大きくなります。
場合によっては身切れなどを起こします。

C&Rのすすめ5

気持ちが大切。
渓流魚の弱点を忘れずに「魚に優しい釣り人」を目指しましょう。
魚に優しいキャッチ&リリースを目指せば「逃がす前に傷を負わせてしまった時の罪悪感」も減るはずです。
正しいキャッチ&リリースは魚にとっても釣り人の心にとっても優しい行為なのではないでしょうか。

最後に

釣り人と釣具メーカーさんにメッセージ

釣った魚を食べるか逃がすは、各釣り人が決めることです。
どちらが正しいということはありませんが、どちらにしても人間の身勝手で魚の運命が決まるということです。全ての魚は本能にしたがい生き続けようとしている尊い命です。

食べるのであれば責任を持ち残さず頂くべきですし、
逃がすのであれば責任を持ち傷めず逃がすべきです。

ここで忘れがちなのがバレた魚たちやランディング後に脱走した魚たちです。
リリースを前提にした道具を使っていればダメージは最小で済みますが、そうでなかったら致命傷を負い、死んでしまう事も少なくないでしょう。

食べる釣り人も逃がす釣り人も、「なるべく大きな魚をなるべくたくさん釣りたい」というのは共通の欲求だと思います。
つまり、バラした魚を死なせないようにすることは共通の欲求を満たすことに繋がります。

そこでみなさんに提案です。これを機に食べる釣り人も逃がす釣り人も、キャッチ&リリース用の道具を使ってみるのはいかがでしょうか?

ここからは大小に関わらず釣具メーカーさんに相談です。
ミノーのフックにはシングルバーブレスまたはトレブルバーブレスの装着を標準化してみてはいかがでしょう。

また、ネイティブトラウト界にラバーネットが浸透しない理由は、その見た目にもあるのではないでしょうか?
銘木フレームに相性の良い「渋くて高級感のある張り替え用ラバーネット」の開発を期待します。手持ちの銘木ランディングネットを活かせれば大勢のこだわりアングラーの方々が喜ぶと思いますがいかがでしょう。
もうすでに渋くて高級感のあるラバーネットがあるのなら、ぜひご紹介ください。

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写真左2つ:今まで愛用していた銘木+クレモナネット。写真の右:次回から使用予定のラバーネット

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